prevention
Dog prophylaxis
ジステンパーやパルボなど、ワンちゃんを飼ったことのない人でも、何となく聞いたことがある病気の予防です。
日本にはヒトの伝染病があまりないので、「恐ろしい」というイメージがあまりありませんが、ワンちゃんの世界にはまだまだたくさんあり、流行するとたくさんのワンちゃん達が不幸にも命を落としてしまいます。
9種ワクチン6種ワクチンと言った予防接種を是非受けて下さい。
ワクチン接種は、3年に1回でよいと言う説もありますが、3年間のうち、接種しない2年は、血液検査(ワクチンによる抵抗力がどのくらい残っているかの検査をします)を実施し、十分な予防効果が期待できるだけの抗体価(抵抗力・免疫力)があれば、接種しなくて良い・・・と言うことになっています。
また、数年間免疫が残ることが期待できるのは、パルボウイルスやジステンパーウイルスなど、コアウイルスと呼ばれるウイルスによる伝染病についてだけです。
実際には、抗体検査をするとワクチン接種と同じだけの費用がかかり、抗体価がなければさらにワクチン接種をすると言う手順になるため、ワンちゃんの来院ストレスの観点、費用の観点から見ても毎年ワクチンを接種した方が良いと判断されるので、ワクチンに対するアレルギーが重症になってしまうなど特別な理由がある場合を除いて、当院では毎年接種をお薦めしております。
また、当院では、ワクチン接種に際しまして、健康検査の一環として、聴診・視診・体温測定はもちろんのこと、糞便検査・心電図検査も同時に行っています。(費用はワクチン接種料に含まれています。)
フィラリアは、犬糸状虫という“そうめん”状の虫が心臓に寄生してしまう病気です。
蚊が吸血する際ワンちゃんに子虫を置いていき、その子虫は半年から1年かけてワンちゃんの体内で成長し、最終的に、肺動脈や心臓に寄生します。
フィラリアが心臓に寄生していることで、ワンちゃんの心臓の壁が傷つけられたり、心臓の働きが弱ったりして、いわゆる「心臓病」の状態になります。
この病気は蚊の出現シーズンに合わせて、月に一回の飲み薬で予防することができます。
この予防薬は、蚊に刺されなくするものでも、ワンちゃんの体の中にフィラリアの幼虫が入らなくするものではありません。
蚊が吸血の際に置いていった子虫が成長し、1か月ほどたった第4期幼虫を駆除するお薬です。
そのため、予防は、蚊が出現し始めた1ヶ月後から、蚊が見られなくなった1ヶ月後までお薬を飲ませていただくようになります。
お薬は毎月飲ませていただくようになりますが、この1ヶ月間ずっと効果があるお薬ではありません。飲ませた日だけ効くお薬です。
こんな理由からも、蚊がいなくなった1ヶ月後に予防薬を飲ませることが一番重要になります。
実際には、中信地区では、5月下旬頃から、11月下旬頃までが予防シーズンとなります。
また、シーズンのはじめには、昨年の予防がきちんとできていたかどうか、簡単な血液検査をした上で、お薬を処方いたします。
フィラリアの予防薬は、フィラリアに感染していないワンちゃんに対しては、副作用もなく、とても安全なお薬なのですが、フィラリアに感染してしまっているワンちゃんにはとても重篤な副作用をおこす場合があります。
飲ませ忘れて間隔が空きすぎてしまったり、ワンちゃんが陰で薬を吐き出してしまったりと言う事故もゼロではありません。
そのため、万が一感染してしまっていた場合には副作用が起こってしまうのです。きちんと検査した上で、投薬するようにして下さい。
一度も夏を経験したことのない子犬については、検査の必要はありません。
Cats prophylaxis
猫ちゃんにもエイズ感染症があることはご存じでしょうか?
人で問題になるエイズウイルスの仲間で、猫科の動物に感染します。
このウイルスは、免疫を司る細胞に取りついて、後天性免疫不全(エイズ)をおこすという点で人のエイズウイルスにそっくりですが、ネコエイズウイルスが人に感染することはありません。
感染猫ちゃんの多くは、ケンカの時に咬まれてうつされることが多いのですが、妊娠中にお母さんからもらってしまうことも稀にあります。
日本では、猫ちゃん全体の約12%に感染しているという報告があり、かなり高率な感染率であると考えられています。特に、外出して野良猫ちゃんとの接触がある子は、要注意です。
このウイルスに感染すると、直後に一過性の発熱、食欲不振などが起こりますが、その後、数年から10年くらいの間はなんの症状も見せない無症候キャリアという時期になります。
このときに他の猫ちゃんにウイルスをうつす危険が一番高くなります。
その後、エイズ関連症候群期となり、免疫力が落ち、ちょっとしたことで病気になりやすい時期になります。
また、最終的には後天性免疫不全症候群期となり、痩せて、発熱、貧血、治りにくい慢性の口内炎・歯肉炎、腸炎、各種腫瘍などにかかり、最終的には命を落とす場合もある状態となっていきます。
数年前にワクチンが発売され、一時期、販売が中止となっていましたが、別メーカーから再発売されたので、現在は注射でエイズ感染症を予防することができる様になりました。
このウイルスは、いったん感染してしまうと、一生涯ウイルスを持ち続けるので、感染させないことが重要となってきます。そのためには、一人でお外に出さないということも必要になります。
ネコの予防?と思われる方もたくさんいらっしゃると思いますが、ネコちゃんもワンちゃんと同様恐ろしい伝染病がいくつかあります。
3種ワクチン、5種(または7種)ワクチンと言ったものと猫エイズに対する予防注射があります。
ネコちゃんのライフスタイルに合わせたワクチンを選択して接種します。
また、3年に1回で良いとの説もありますが、ワンちゃんの伝染病の予防接種と同じ理由で、当院では毎年接種するようにお薦めしております。
Tick and flea prevention
ワンちゃんがお散歩に行くと、マダニが草むらでワンちゃんの来るのを待っていることがあります。
突然黒いイボみたいなものが目や首の周りなどにできた場合は、マダニが付いていることがあります。
体に付いたばかりのマダニの大きさは1~3mm程度ですが、1週間ぐらい血液を吸って大きさ1cm程度・体重はなんと100倍になります。このときの吸血量は1~3ccにもなります。
無理矢理取ってしまうとマダニの口が皮膚の中に残って長い間皮膚の炎症をおこしたり、マダニのお腹の中のものを押し込んでしまうことがあります。無理に取らずお薬でマダニを落とした方が良いでしょう。
マダニが寄生することで問題になるのは、貧血です。大量に寄生してしまうと吸血により貧血を起こすこともあり得ますが、原虫という血液の寄生虫をマダニが吸血するときに伝されて、そのために貧血することが多くあります。最近では、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)が人で取り上げられました。今のところワンちゃん・ネコちゃんにどの程度の病気を引き起こすかどうかわかっていませんが、感染したという報告はあります。また、SFTSに罹ったワンちゃんやネコちゃんから飼主さんがSFTSに感染したとの報告もあります。SFTSウイルスを移すマダニは、ワンちゃん・ネコちゃんにも寄生しますので、この子達の予防は重要だと思います。
ホームセンタなどにもダニ駆除のお薬がありますが、図にあるように動物病院で処方しているお薬ほどの効き目がありません。調査はノミについてのものですが、ダニについても同じです。ダニがいるようなら、動物病院でお薬を処方してもらって下さい。(出典:メリアルジャパン)
動物病院で処方するお薬でも、100%マダニが付くことを予防するお薬はありません。 マダニが動物の体に付いても、吸血する前に死んで落ちていきますので、貧血を起こす様な病気が予防できます。
松本・安曇野地区では、ノミの寄生は比較的少ないと思われます。
しかし、ノミは18度以上あれば卵を産んで増殖します。最近では、冬場でもお家の中はポカポカになっています。今後ノミが増えてくることも十分考えられますので、十分気をつけて下さい。
当院では、ダニとノミによる病気を同時に予防するお薬を用意しています。
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